山口の長門湯本への6ヶ月の「越境学習」によりミドルシニア社員のモチベーション向上を実感

  • 2023/11/09

出光興産株式会社は、長門湯本温泉エリアの持続的な観光まちづくりに取り組む長門湯本温泉まち株式会社に社員を週1日出向させる「週1出向プログラム」を2023年4月から9月までの6ヶ月間でトライアルを実施しました。

本取り組みは、出向する社員自身の経験やスキルを生かし、長門湯本温泉エリアの課題解決や業務改善などに貢献することを目指し開始されました。

人に投資をして様々な経験をしてもらい中長期で繁栄する会社にしたいという想いで、現在「越境体験」に力を入れている出光興産。


出光興産はなぜ、長門湯本温泉に社員を出向することを決めたのか。出光興産から出向した岡崎さん、出光興産人事部の山田さんと受け入れ企業の木村さんに詳しい経緯を伺いました。

プログラム参加を決めた背景を教えてください。

出光興産では部署を超えた人事異動が積極的に行われてます。

しかしそれだけではなく、社内の常識が通用しないような環境に行き、その世界の中で自分で自立をして、新しい学びや体験を社内に持ち帰って周囲に伝えてもらう、そんな「越境体験」を社内で進める中で週4社員ドットコムさんからお話をいただきました。

お問い合わせや提案は様々な会社からいただいていました。週4社員ドットコムを選んだ理由は、担当の安東さんの人柄と自社の要望を最大限反映し、一緒にプログラムを作ってくれた信頼関係があったからです。

長年情報システム周りの技術系の仕事をしており、そこから営業部、人事部に異動となり健康推進に関する仕事をしていました。年齢が役職定年に近づき、今後どうしようかと考えていた際に人事から偶然本件のプロジェクトについてお話しをいただきました。

私は、山口県出身です。寂しくなっていく地元の現状をみて、地域に貢献するような仕事をしたいと思っていました。
自分が役に立つのか不安でしたが、それ以上に新しいことをするワクワク感がありました。

お話しを最初に聞いた時、まず可能性を感じました。自分自身が経済産業省で働いており、長門市役所に出向した経験があります。大企業で得たスキルは地方の小さい組織でも活かせることがわかっていました。

地域課題は挙げればキリがありません。街づくりに関してやりたいことはいっぱいありますが、常に人手不足です。特に企画立案ができる人が足りていませんでした。

週に1日の勤務で役目を果たしてもらえる環境を作れるか不安もありましたが、地域に何か関わってもらえる人が増えれば絶対に地域に前向きなことが起きると思い、受け入れを決めました。

人事視点で送り出す時に不安はありませんでしたか?

越境学習は、社員が人事の目の届かないところに行くので、新人の場合だとスキル面や生活や健康面が心配です。岡崎さんはベテランの方なので、自分の持てる力を出せると思っていたので不安はありませんでした。地域に貢献するという観点ではベテランの方が、生活もしっかりしていて安心感を持って送り出せます。

また、受け入れ前に人事部側が実際に長門に訪問しました。川遊びする時もみんなで見守るような本当に温かいいい街で安心感がありました。週4社員ドットコムの方と何度も打ち合わせを行い、案件のクオリティを高められたのが成功の秘訣だと思います。

週1日の勤務ではどのようなことをされていますか?

岡崎さんには駐車場のデータ活用業務をお願いしています。駐車場に日帰りのお客さんがたくさんくるのですが、そのデータを旅館やお店の方が活用できるようにしたいと考えていましたが、じっくり関われる人がおらず何も手がつけられない状況でした。

岡崎さんは元々情報システムの経験があり、分析業務であればリモートで取り組みやすいと思い依頼しました。

基本の業務はリモートで行い、3ヶ月に1回ほど長門に訪問しています。
リモートといえど人間関係は大事なので、開始3日前に長門に行きました。事前に現場に行けたことで業務がしやすくなりました。

月曜〜木曜の週4日は出光の本業の仕事を行い、毎週金曜に1日長門仕事をしています。金曜は出光のメールも電話も出ないと決めて関わっていました。周りの社員も理解してくれていたので、特に問題はありませんでした。

人事側としてはフルタイムの人に越境学習してもらう時は、1割か2割できれば3割を目安に本業の仕事を減らして対応します。越境学習で本業の時間が限られることで、時間の使い方の見直しができ業務効率化に繋がると考えています。

実際にどのような変化がありましたか?

セカンドキャリアについて明確にイメージしたり、考える機会が今まであまりありませんでした。「定年退職後も出光で働くんだろうな」と漠然と思っていました。

実際にこのプロジェクトに参加して外に一歩踏み出すことで違う世界を見ることができ、自分のモチベーションがとても上がりました。

仕事のモチベーションは定常的にありますが、それよりも1段階ジャンプするような感覚です。60歳くらいになると仕事のモチベーションが一気に高まる機会はなかなかありません。今回のプロジェクトで上がったモチベーションは、普段の仕事で感じられるモチベーションの領域を超えていました。

駐車場のデータ活用の業務では、データの数字を見ていても何も答えがでません。色々な人に聞き悩みながらアウトプットが出たのは大変やりがいを感じました。
 
業務改善のプロジェクトも担当したのですが、大企業の中では当たり前にしてきた提案や業務改善が長門では喜ばれました。自分達が当たり前に普通にやっていたことが、外だと違うことがあることを感じました。役に立つ経験を積み上がっていくとモチベーションが高まっていくことを感じました。

一番感じたことは岡崎が目に見えて元気になったことです。前から明るいけど、明らかに雰囲気が変わりました。顔色も違うし笑顔も増えました。

今まで手が届かなかった業務を進めてもらえたのは助かりました。特に受け入れてよかったと感じることは、岡崎さんと一緒に働いた街のメンバーが刺激を受けていたことです。「もっと自分で提案していいんだ」と働き方や関わり方の違うモデルを見せてもらうことで、街のメンバーが能動的に動くきっかけを作ってくれました。

今まで自分は地域を変えるために活動していましたが、いつの間にか守りの姿勢が強くなっていました。岡崎さんはそれを変えてくれたので感謝しています。

会社では得られない体験をすることでやりがいを感じて成長し、将来のライフキャリアを考えるきっかけにして欲しいと考えています。このモデルはミドルシニアだけではなく、若手や40代でも効果的です。

今回の事例を5、10件と増やし、将来的には100件の越境体験作りを目指しています。今後も色々な地域の方に「出光興産の人にきてもらえたら嬉しい」と思ってもらえるようになりたいと考えています。

出光興産株式会社は今回のトライアルを経て、社員がこれまでに培った経験やスキルが地域への貢献につながることや、社員のキャリアを生かした新しい働き方にもつながると判断したため、2023年10月から社内で本格的に開始することとなりました。

プログラム参加社員は、これまで通り週4日は出光興産で勤務しながら、週1日は長門湯本温泉の活性化に向けた企画支援等の業務に取り組みます。

週1日分の時間の使い方については、1週間のうち1日を充てるやり方もありますが、週4日×2時間(計8時間)というように何日かに分けて1日分を充てる等、出光興産と長門湯本温泉まち株式会社の間で自由に設計できます。

週4社員ドットコムとは

「週4社員ドットコム」は、短期インターンや中長期的な他社での就業機会を通して、社員自らがやりたいことを自発的に見つけ、意志を持ってセカンドキャリアを考えられる人を増やすために開始されました。シニア社員が自律的にセカンドキャリアを探すことができるよう、3つのサービスを提供しています。

【3つのサービス】
1)インターンを通じた職業体験プラン
2)週1日から参加可能な地方企業やベンチャーへの受け入れ先の紹介
3)再就職支援先の紹介、複業、独立などの多様な働き方を支援

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